経営の課題
management

整理、整頓の必要性

3Sも5Sもその出発点は「整理」、「整頓」だ。
整理・・・不要なものを識別し除去
整頓・・・必要なものが識別され、歩かなくても、探さなくても、その必要物を手にできる

自身が協業するトヨタ自動車も、最初に工場を訪れたとき、「この工場の中に、この製品を作るために不要なものないですか?」と尋ねる。

製品を作るために必要のない、「設備」「治工具」「計測器」「補修部品」「材料」は、有効なスペースを無効にし、必要なものを取り出すときの障害となる。

「整理」「整頓」の目に見えるご利益は、固定費として減価償却しているスペース(保有資産の場合、固定資産税も賦課)の有効活用であり、歩く、探すなど非稼動としてカウントされる無駄な時間の削減だ。
「整理」「整頓」は、実際の工場だけでなく、経営実態の見える化にも役立つ。

経営実態を客観的に判断する材料に、決算書(貸借対照表、損益計算書)があるが、コロナ融資などで現預金が潤沢にある企業には注視して頂きたい。
貸借対照表は、企業の決算期の一時の資産の状況を表す。右側が調達資金(借入金、資本金)、左側が資産(現預金、固定資産)で構成される。
現在、政府系及び民間金融機関の尽力があり、相当額の融資が履行されている。よって、月商の2倍が適正とされる現預金の額が必要以上に増大している企業が見受けられる。

現預金の潤沢性により、運転資金や借入金返済(債務償還)には窮しておらず、事業の方向性について安堵している経営者も少なからず存在すると考えられる。しかし、借入金返済(債務償還)を持続する収益が今後獲得できるのか?は注視されたい。

借入金返済の持続可能性は、損益計算書を見る。損益計算書は、決算月以前の1年間の経営活動の結果を表す。
売上高、製造原価、売上総利益、一般管理費、営業利益、・・・税引後当期純利益の順番で上から下へと記載される。
注目したいのは、「税引後当期純利益」と製造原価や一般管理費に含まれる「減価償却費」だ。
借入金返済は、この「税引後当期純利益」と「減価償却費」を足した金額でしか賄えない。
※「税引後当期純利益」+「減価償却費」=「簡易キャッシュフロー」という。

仮に、1年間の借入金返済額 > 簡易キャッシュフロー となった場合、現金が不足し、他人からであれ、自己からであれ、その企業に現金を投入する必要がある。(細かい条件もあるがここでは割愛する)

現在の簡易キャッシュフローでは、到底、借入金返済がかなわないのに、コロナ融資などで、現預金が潤沢にあり、返済できてしまっている企業は、更なる売上高拡大や固定費削減などを計画的に企てる必要がある。

現場のモノ(材料、備品)、経営のカネ(現預金)も潤沢にありすぎると、問題が見えなくなってしまう。コロナ禍の状況のなか、潤沢な現預金を保有することは、一定の効果がある。しかし、現預金額を月商の2倍に置いた場合の、将来の損益計画もシュミレーションし、今後の経営戦略を検討しておきたい。

工場も経営も「整理」「整頓」は欠かせないのだ。