企業が最終的に求めるものは、「収益(金銭)」と言って間違いないであろう。
我々は誰一人として、自分の意思でこの世に生まれてきたわけではないが、この世に生まれてきた以上、生命活動に必要な衣食住は、金銭を以って獲得する以外に方法はない。
そして、その金銭は、自分以外の第三者が欲する商品又はサービスを提供し、得る、という仕組みが人類の長い歴史の中で確立されてきたわけだ。
その金銭獲得の構造は、個々の人間というレベルだけでなく、企業という法人も同様である。
企業が欲しいのは「収益」である。そしてその収益は、「売上高-経費」という数式で示される。
そして今、新型コロナウイルスによって、収益獲得の構造が完全に崩れ始めている。
これを切り抜ける策はそう多くない。
・国の支援を受ける(補助金、融資、雇用調整助成金・・)
・新型コロナウイルスによって、需要が増している市場に参入する
しかしである。企業の収益を生み出す内部資源である3要素(人、モノ、金)を別の市場に参入するために機敏に変化させることは、ほぼ不可能だ。
特にモノに属する、機械設備や方法などを新規性の高い、新たな市場に適合させるには、商品とサービスの適合性だけでなく、商品とサービスを生み出すプロセスの妥当性も検証する必要がある。
このような厳しい状況下で将来に向け一つだけ、準備できることがある。
それは、「人(従業者)」のスキルアップだ。
「人」で重要な要素は、適切なアウトプットを生み出す力量である。
そして、その力量は、教育・訓練によって業務遂行ができる最低限のスキルを獲得し、教育・訓練を受けた従業者が自己のモチベーションと改善意欲を高めながら、スキルの最大化を図る。
スキルの最大化は、まさしく「モチベーション」と「改善意欲」が従業者にとっての燃料となるわけだが、このプロセスを旨く説明できるのが、ハーズバーグの二要因論だ(ハーズバーグ;米国の臨床心理学者)。
ハーズバーグは、「従業者が組織を離脱しない衛生要因」と「従業者が自ら組織に貢献しようとする動機付け要因」とに識別している。
この衛生要因は、「期待給与」「良好な対人関係」「組織の管理体制」などが挙げられ、これらが充足できなければ、従業者は組織を離脱(退職)することになる。
一方、動機付け要因は、「自己成長を感じる」「承認・感謝される」「役割・責任の付与」「昇進・昇格」と言われている。
組織における人の役割は、「企画」「開発」「営業」「製造」「サービス」と多岐に渡り、その生産性を単一指標で表現するのは難しいのだが、いずれの役割においても、その生産性を最大化させる従業者のモチベーション(ソフト面)と組織の体制(ハード面)の両輪が機能しなければならないのは明らかであろう。
企業の人事担当部署は、組織の体制(ハード面)である「人事制度」「給与制度」「勤務体制」「健康管理制度」という衛生要因に力点を置きがちになるだが、もう一方の動機付け要因である「自己成長を感じる」「承認・感謝される」「役割・責任の付与」「昇進・昇格」などのモチベーション(ソフト面)についても、その組織において旨く引き出されているのか思慮する必要があろう。
新型コロナウイルスが収束するその日に向け、「人件費」という経費として計上される「人」から、「収益」をもたらす「人」へ変化させる仕組みを更に検討されたい。