経営の課題
management

お金か?感謝か?

ハーズバーグ(米国の臨床心理学者;1923‐2000)によると、従業者が組織を離脱(退職)する主な要因は、
・組織方針、将来の曖昧性
・自分の期待給与に達しない
・職場環境、人間関係が悪い
であり、
従業者が組織のために積極的に貢献しようとする動機付け要因は、
・自己成長を感じうる
・承認(感謝される、認められる)
・責任、権限、昇進
と述べている。

これは二要因論(衛生要因・動機付け要因)と呼ばれる説であるが、筆者の長い組織人としての経験と照らし合わせても、かなり妥当な論理だと考えている。

前回のブログで、生産性効率化の機序(安全・5S・品質・IE的効率改善)について言及したが、すべての活動は、関与する全ての従業者の取り組みによって継続され、その効果が現れる。一部の管理者層のみの活動では、取り組みの形骸化と停滞に突き進むだけだ。

そして、関与する従業者には、責任と権限が付与され、活動自体の反省と是正の手順を挟もうとも、承認される(感謝、是認)プロセスが欠かせないのだ。
よって、生産性効率化には、
・目的、方針の明確性(ISO(QMS)で言う品質方針)
・計画と到達目標の明確性(ISO(QMS)で言う計画・目標)
・各担当の責任と権限の明確性(ISO(QMS)で言う役割責任)
・目標の共有(ISO(QMS)で言うコミュニケーション)
・改善活動と評価(ISO(QMS)で言う改善)
・活動結果と追加課題の抽出(ISO(QMS)で言うマネジメントレビューへのIn、Out)
が必須となる。
ISO(QMS)では、従業者への承認までは言及していないが、マネジメントレビューやコミュニケーションのプロセスでは、充分に留意したい事項である。

特に顧客と接点を持たない従業者に対する「感謝される」は、職場の上司や仲間からの「感謝される」に限定される。製造の現場で毎日同じ作業を繰り返している現場作業者は、寡黙な作業の中で、自己のモチベーションをあげるため、日々自分の頭と心で葛藤しているはずだ。

経営者や管理層は、寡黙な作業の対価として金銭(給与)を支払っているのだから、「我慢して作業をするのは当然だ」「作業者自身でやるべきことを考え、モチベーションを上げることが必要だ」と考えるのであれば、企業の収益力アップには、プラスの効果はもたらさないであろう。