メーカー出身である私は、製造業に呼ばれることが多い。主には収益性向上や生産性効率といった経費削減(原低活動)を目的に派遣されるのだが、殆どは、充分な売上が確保できていないケースが多い。
現状保有している資源(人・建物・設備)の費用は定常的に発生する”固定費”に属するが、その固定費を賄うだけの”売上”が足りていないのだ。よって、現状の売上で賄えるレベルまで固定費を削減すればよいのだが、話はそう単純ではない。
固定費として計上される人(人件費)、建物・設備(減価償却費)は、既にシステマチック化され、プロセスが確立しているなかで、易々と切り離すことなどできない。人であれば、解雇であり、設備であれば、売却・除却であるが、多品種少量生産が主流となっている現状では、稼働率が悪くとも、特有の人と設備は、その保有を放棄するわけにはいかない。ましてや、建物は切って売り渡すことなど不可能なのである。
固定費を賄う売上高は、単価×数量で表される。単価アップには、製品に付加価値を与えるのが必須条件だが、それは難加工技術の獲得や、上流の設計プロセスに踏み込むなどの戦略が必要だ。また、数量拡大には販路開拓戦略が主軸となるだろう。いずれの戦略にも、顧客ニーズを捉える手順が必要であり、そのインターフェースは営業部門なのだが、この営業部門が受注屋になっているケースがとても多いことに驚かされる。受注屋に徹する限り、顧客ニーズは、固定化されたQCDに向かう。より良く、より安く、より早く、これは規模の経済が成立する規模の大きい工場では吸収できるが、中規模以下の工場では、粗利が削られ、販管費が賄えず、継続的な営業利益マイナス状態へと陥る。
受注屋から攻めの営業に転換しなければならないのだが、この攻めの営業は、「将来を見据えた顧客ニーズの獲得」、「顧客ニーズを見据えた技術獲得・資源獲得」の2つのプロセスを旨く機能させる仕組み作りから逃げることはできない。
規模の経済は、新興国などの海外生産拠点が担う時代に突入した今、特に、国内中小製造業は、攻めの営業を中心とした改革の転換期にあると言えるだろう。
エンジンだけ磨きをかけても、そこに供給する燃料がなければ車は走らないのだ。